映画批評「ミスト」

2008.05.10 10:10 このエントリーを含むはてなブックマーク この記事をクリップ! Buzzurlにブックマーク newsing it!

◆この映画には満足というものがない (71点)

 本日からブロードメディア・スタジオより公開されるホラー映画「ミスト」。モダン・ホラーの巨匠スティーブン・キングの小説「霧」が原作だ。

 嵐の翌日、湖の向こう岸に発生した霧。湖のほとりに住むデヴィットは、不自然にこちら側に流れてくる霧を不安に思いながらも、町のスーパーへと5才の息子ビリーを連れて食用の買い出しに出かける。

 レジに並んでいると、突然サイレンが町に鳴り響く。不安な気持ちでスーパーの外をのぞくと霧の中から鼻血を流した男が、叫びながらスーパーの中に駆け込んできた。「霧の中に何かがいる!」もうすでに霧はそこまで迫っていた。

 監督フランク・ダラボン×原作スティーブン・キングときては観に行かないわけにはいかない。このタッグで作られた映画「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」は素晴らしかった。

 「ミスト」のホラー映画としての出来は上々だ。正体不明の怪物、蟲、ワイバーンなど、気味の悪い生き物たちがこれでもかというぐらい揃っている。それらが霧に紛れて見え隠れするものだから、いやでも想像がかき立てられてしまう。想像力を活かした怖さだ。

 しかし、不満なところもある。それはこの映画は観ていてイライラしてくるということだ。

 進行に、ではなく登場人物にイライラとするのだ。子供を盾にする女、口ばっかりの男、聖書の始まりだと言い出す女、観て貰えば分かるが不快な気分になる。

 そしてトドメがラストだ。映画のラストは原作とは違っていたが、これがダメ。ホラーとしては素晴らしいラストかもしれないが、救いがないことこのうえない。一体この映画は観客に何を伝えたかったのだろうか。

 原作「霧」の良さは正体不明の霧の怖さだったはずだ。しかし映画「ミスト」では怖さよりもイライラ感が勝つ。これでは良い映画を観たという満足感が味わえるはずもない。

 ホラーの良さだけ見れば90点オーバーの内容だったが、満足できない映画にそこまではやれない。それだけにとても残念だ。

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