映画批評「ミスト」

◆この映画には満足というものがない (71点)
本日からブロードメディア・スタジオより公開されるホラー映画「ミスト」。モダン・ホラーの巨匠スティーブン・キングの小説「霧」が原作だ。
嵐の翌日、湖の向こう岸に発生した霧。湖のほとりに住むデヴィットは、不自然にこちら側に流れてくる霧を不安に思いながらも、町のスーパーへと5才の息子ビリーを連れて食用の買い出しに出かける。
レジに並んでいると、突然サイレンが町に鳴り響く。不安な気持ちでスーパーの外をのぞくと霧の中から鼻血を流した男が、叫びながらスーパーの中に駆け込んできた。「霧の中に何かがいる!」もうすでに霧はそこまで迫っていた。
監督フランク・ダラボン×原作スティーブン・キングときては観に行かないわけにはいかない。このタッグで作られた映画「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」は素晴らしかった。
「ミスト」のホラー映画としての出来は上々だ。正体不明の怪物、蟲、ワイバーンなど、気味の悪い生き物たちがこれでもかというぐらい揃っている。それらが霧に紛れて見え隠れするものだから、いやでも想像がかき立てられてしまう。想像力を活かした怖さだ。
しかし、不満なところもある。それはこの映画は観ていてイライラしてくるということだ。
進行に、ではなく登場人物にイライラとするのだ。子供を盾にする女、口ばっかりの男、聖書の始まりだと言い出す女、観て貰えば分かるが不快な気分になる。
そしてトドメがラストだ。映画のラストは原作とは違っていたが、これがダメ。ホラーとしては素晴らしいラストかもしれないが、救いがないことこのうえない。一体この映画は観客に何を伝えたかったのだろうか。
原作「霧」の良さは正体不明の霧の怖さだったはずだ。しかし映画「ミスト」では怖さよりもイライラ感が勝つ。これでは良い映画を観たという満足感が味わえるはずもない。
ホラーの良さだけ見れば90点オーバーの内容だったが、満足できない映画にそこまではやれない。それだけにとても残念だ。











ロッソ 2008.05.14 1:05 PM
ホントにその通りですよね。登場人物にはみんなイライラさせられるし、ラストはなんの救いもない。見終わった後は不快感しか残りませんでした。劇場をアトにする人達はみんな青ざめてました。監督は人間の内面に潜む怖さを描いたと言っています。勇敢な主人公でも絶望した時は最悪の選択をしてしまうということを言いたかったのかもしれませんが、映画はエンターテイメントであるべきで、この映画で「怖さを楽しむ」ことはできませんでした。あのようなラストシーンにしたのも観客を楽しますためでなく、人と違うエンディングにしたいという監督のエゴなんじゃないでしょうか。
たま 2008.05.17 12:09 AM
>人と違うエンディングにしたいという監督のエゴなんじゃないでしょうか
そもそも監督って、そんなもんでしょ。
観客は自分の納得のいくエンディングを期待して、納得行かなかったら、文句を言う。
それも観客のエゴでしょ。
このような映画があってもいいと思いますよ
kIND 2008.05.27 12:40 AM
捉え方には色々ありますね。『ミスト』はいままさに世界で進行している現実の救いのなさ、アンチカタルシス、あるいは米国民が直面する911後「暴力に暴力を上書きするようなやり方でいったい何が解決したのか」という虚無感。そうしたものを表現した、傑作であるように思います。カタルシスがお好きな方は『踊る大走査線』のDVDでも見ていたほうが良かったのかもしれません。ご愁傷さまでした。