デジタルマガジン

2012年12月16日 15:01

選挙に行かない若者に「諦めたらそこで試合終了ですよ」と言う大人のズルさ

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 選挙の時期になると大人たちが藪から棒に「若者よ、選挙に行きなさい」と説教を始めるのですが、あれって“正論言ってる俺カッコイイ”を味わってるだけで意味ないですよね。アンタら、ホントに若者のこと考えてるの?

 選挙当日になってこんなコラムを書くのも十分アレなんですが、乙武さんの以下のコラムを読んで「えー……」って気持ちになったのでその想いをキーボードにぶつけることにしました。

 とくに「えー……」ってなったのが以下の一文。

 「どうせ変わらない」

 たぶんね、今回の選挙結果だけでは、すぐに変わらない。みんなの言うとおりだよ。でも、安西先生も言ってたじゃん。

 「あきらめたら、そこで試合終了ですよ…?」

 若者にも政治に関心があること、若者も票を持ってることを、今回の選挙で少しでも見せてやろうぜ。そうしたら、少しずつ、政治家の目もこちらに向いてくる。若者にも目線を向けた政策を考えてくれるようになる。その次の選挙で、僕らはそうした候補に票を入れていく。そして、またその次の選挙で――。

 選挙に行かない君へ | 乙武洋匡オフィシャルサイト

 安西先生は良い。あのセリフは大好きです。山王戦での「オレは、オレは今なんだよ」のセリフとか読んだら今でも泣ける。『スラムダンク』、大好きです。今度は嘘じゃないっす。でも、あのときの安西先生の状況と今の選挙の状況は全然違いますよね。

ボロ負けの状態でバトンタッチしてきて「諦めるな」

 残り時間11分20秒、22点差でボロ負けの状態。なるほど、たしかに今の若者の状態を表してるかもしれない。でも、スラムダンクでそんな状況にまでなってしまったのは花道をふくめたレギュラーたち全員の責任なんですよ。

 では選挙の方はと言うと、昔も今も上の世代が好き勝手やってきた状態。当然試合はボロ負け。そこにいきなり「はい、キミ20歳になったから選挙権あげるね。若者のために頑張ってよ」とバトンを渡されたようなものです。

 ……それは、ないんじゃない?

 自分たちがこれまでボロ負けにしてきたくせに「いやー、俺たち全然ダメだったよ。でももう上の世代に行くから今度はお前ら頑張ってね!」って笑顔で言われても困ります。

 これじゃ桜木が止血のためにベンチに入った代わりに野辺とゴール下を争うことになったカクの状態ですよ。「押してもビクともしない……。これじゃポジション争いだけで体力を使い切ってしまう……(スラムダンク26巻59ページより)」。

 いきなりボロ負け状態からのスタートを強制されて頑張れるのはマゾくらいなもんです。しかも全員が頑張らないと勝てないんだから個人主義が増えてきたこの時代ではほぼムリゲーです。

大人世代も若者時代は選挙に参加してない

 だいたい選挙に行け選挙に行けと口うるさく言うわりには彼らは自分たちが若者のときには選挙になんて行ってないんですよ。

 若者の投票率が低いことが分かる、てな感じで最近よくネットで見かけるグラフを見ればそれが分かります。

young-man-and-adult-and-election

 年齢別投票率の推移 | 財団法人 明るい選挙推進協会

 このグラフは一見すると赤の線=若者が選挙に行ってないように見えますが、ガクンと落とした平成5年から平成15年に投票した若者たちは今の30歳代から40歳代ですよ。それに比べて平成17年、平成21年は持ち直してる。つまり、今の若者は少なくとも昔に比べて選挙に行ってるんですよ。

 政治家が若者に目を向けないこの日本を作ったのは若者の投票率の下落が始まった昭和58年あたりの若者世代、つまり今の大人たちの責任です。

 自分たちのツケを回してるくせに、若者に選挙に行きなさい?

政府も世間も若者には政治に参加して欲しくない

 そもそも若者を選挙に参加させたければ政府が対策を実行すればいいんですよ。でも、そんなことは行われていません。

 なぜか? そりゃ票が増えると当選できなくて困る人が出てくるからですよ。とくに与党に。

 若者の投票率をあげたければ手っ取り早く義務投票制でも採用すればいいんです。おかげでこの制度があるベルギーやオーストラリアでは若者の投票率は90%前後をキープしています。大人たちも若者が政治に関心を持つからとこの制度に肯定的です。

 国民が政治に参加しないことが危ういと考える人が本当に多いなら、政治家もそれを支持する人たちも対策に動いてるはずです。でも、実際はそうなってない。みんな自分が良ければそれで良いって人が多いんですね。政治家にも国民にも。

投票したい政党がない(小選挙区的な意味で)

 そしてこれが一番の問題だと思ってるのですが、仮に「マジヤバイ(笑)」とか「ワンチャンあるでコレ!」とか言ってる若者が奇跡的にも投票に行く気になったとしましょう。

 そこに待ちかまえているのは小選挙区制なる“あらかじめ投票先が限定されている”という最悪の制度です。

 東京12区なんかひどいもんです。投票先が公明党、共産党、諸派(幸福の科学)、日本未来の党しかない。若者に人気と言われている維新やネット右翼に人気の自民もいない。宗教、共産、元民主のなかから好きなの選べって、何の罰ゲームですかこれは。

 「そのために比例が」と言う人もいるでしょうが、そもそも罰ゲームがあっちゃダメなんですよ。「若者の意志を聞かせてください、罰ゲームだけど」って、そりゃ政治に興味もなくなりますよね。

 まだ20歳代なので若者世代にギリギリ入っているボクですが、この状況で若者に選挙に行けとはとても言えません。むしろ「行ってください」とお願いするレベル。

 そんなわけで今年も今から罰ゲームをしに行ってきます。いやホント若者に政治に参加して欲しかったら大人たちは口だけじゃなくて手の方を動かしてくださいよ……。自分たちでどん底に突き落としておいて「キミたち自身のために」って冗談きついですよ。

[追記] お膳立てじゃなくて口と行動を合わせて欲しいだけ

 「お膳立てしてくれないと選挙に行かないなんて若者はどれだけ甘えてるのか」みたいな意見がチラホラ見られましたので追記。

 そういうこと言ってるんじゃないんですよ。

 目の前に山があるけどゴミでいっぱい。先に登ってそのゴミを捨てまくった人たちが「登れ。お前たちのためだ」って言ってくるのに反発どころか「……は?」ってなってるんですよ。

 ぶっちゃけ「これはお前のためだ」とか言いながら殴ってくる頭のおかしい人とやってることが同レベル。個人に絞ってみれば尊敬できる人もいますが、説教してくる大人側から“若者”と世代で話をしてきているのでこちらも全体として受け止めます。

 せめて説教するなら来たときよりも美しくの精神でバトンタッチしたうえで言って欲しいです。ここ最近政治に参加し出したのに「これだから若者は……」とか言われてもモニョりますよ。

[追記] ボクは選挙に行きました

 なんか驚くほど“選挙に行った”ことを読めてない大人がいるので分かりやすいように書きますね。

 ボクは選挙に行きました。ボクは選挙に行きました。大事なことなので2回言いました。

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