デジタルマガジン

2012年05月15日 12:49

虚構新聞に騙された人を笑うモラルのない自称“情報強者”たち

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 昨日『実名で他人の評判を貶めるウソ記事を書く虚構新聞の危うさ』という記事を書いたところ、自称“情報強者”の人たちから生暖かいツイートをたくさん頂きました。さすがにお腹いっぱいです、ありがとうございます。

 押し寄せるツイートの波に酔いそうでしたが、いくつか気になる点があったのでもう一度筆を執ることにしました。

「騙される方が悪い」と叫ぶ人たち

 記事に対する反応のなかで一番気になったのは、「騙される方が悪い」と声高に叫ぶ人たちが多くいたことです。え? 本気ですか?

 虚構新聞は、新聞社風のデザイン、実名の使用、写真の無断掲載など、まあ、知らない人が見れば騙されてしまうサイトです。それに引っかかったからと言って、騙された方が悪いってのは、どこの詐欺師の論理でしょうか。

 「騙す方も悪いが騙される方も悪い」ならまだ分かります。それは理解できます。しかし、「虚構新聞に騙される方が悪い」とだけ主張している人を見ると、嘘つきの片棒担いで頭おかしいんじゃないかと思います。

虚構新聞に騙された人を見て楽しむ人が増えた

 こういった変な主張をする人が増えた背景には、虚構新聞のウソ記事そのものを楽しむのではなく、虚構新聞に騙された人を見て楽しむ人が増えてきたことにあります。つまり、騙された人を笑うことが楽しいモラルのない自称“情報強者”が多くなりました。

 彼らにとっては、騙された人を見て笑うことが一種の娯楽になってしまっています。

 まあ何を見て楽しむかなんてのはその人の自由ですが、あんまり人にオススメできる娯楽ではありません。自分は騙されなかった、という安い優越感では一時の楽しみにはなってもその後が続きませんから。

 それに、人は誰でも自分の知らないフィールドに踏み出せば物知らずです。インターネットでは情報強者でもリアルでは情報弱者、という逆の現象も十分にありうるというのにそうなった人を笑いものにするのがイロイロと理解できません。

実名記事でネタにされた人だけが被害を受ける

 虚構新聞にしてもそれに騙された人を見て笑う人にしても、想像力が足りていない印象です。実名で書かれたウソニュースを広めることによってどんなことが起きるのか、そのことを考えたことはあるのでしょうか?

 現在、橋下市長のTwitterのアカウントには虚構新聞のウソ記事を読んだ人から批判、事実確認、からかいといった必要のないツイートが多く寄せられています。

 Twitter / 検索 – t_ishin 義務

 たしかに、虚構新聞のウソは虚構新聞も、読者も、騙された人もそう大きな被害は受けません。しかし、ネタにされた人は本来ならば必要のない対応を迫られる被害にあっているわけです。

 「虚構新聞の記事に騙されて笑いものになったことでメディアリテラシーが身につく」という意見は一理ありますが、だからといって公人や芸能人に迷惑をかけることを認めては「みんなのためにお前が犠牲になれ」というようなもので、到底受け入れることはできません。

騙された人もそれを笑う人も本質的には同じ

 そして一番残念、というか笑えないのが「虚構新聞に騙されてくやしいからこんな記事書いてるんだろ」とツイートしてくる人たちがかなりの割合でいたことです。

 記事本文に「昔の虚構新聞に戻って欲しい」と「昔から虚構新聞のことを知ってますよー」と恥ずかしい古参アピールをしてるのにそれを読んでいない。騙されたことを怒って記事を書いたと思いこんでいるわけです。

 本文を読まずにタイトルや小見出しだけで内容を判断する、そう、虚構新聞に騙された人と同じですね。

 これは誰でもそうですが、ウェブサイトの一記事をすみずみまで見る人はいません。それは自分のネットサーフィンの様子を思い返せば納得できるんじゃないでしょうか。本文を読まずにタイトルだけで判断する、ロゴの「虚構」が目に入らない、そういった人がゴロゴロいます。でもそれが当たり前なんです。

 もちろんそういった人たちを「メディアリテラシーが足りない」の一言で片付けるのはカンタンです。けれど、それですまないのが世の中ということも分かっているはずです。小さい字で注意を書いておけば許されるならソフトバンクは公取委に怒られたりしないんですよ。

虚構新聞のガイドラインは考えが甘い

 各所からの批判に対して虚構新聞もTwitterで考えを発信していますが、ちょっと考えが甘いと感じます。

 タイトルの件、たとえば虚構新聞が会員制のサイトで登録した人しか読めない、というなら分かりますが、インターネット全体に公開して見た人全員を“読者”と呼ぶのはちょっと認識不足です。

 今回の記事で虚構新聞を初めて見たという人もいるでしょうし、インターネットを新しく始める人がいるかぎり、それはなくなりません。彼ら全員が読者になるその日まで虚構新聞はウソネタ街道を突っ走り続けるのでしょうか。

 また、実名使用のガイドラインについても認識に誤りがあります。先日のウソ記事『ソーシャルゲーム「爆走!ネコヒロシ」、公開1日目で終了』でネタにされた猫ひろしさんは芸能人であって公人ではありませんし、そもそも公人だからといってウソをついて中傷して良いわけでもありません。

 企業名についても『消費者庁、ドラクエにも指導へ』とか正直言ってかなり危ないです。

 本当に最近の虚構新聞は煽るようなタイトルと話題性に釣られたネタばかりのように感じます。2ちゃんねるですら警察に白旗をあげようとしている昨今、あえて危ない橋を渡ろうとするその姿勢には何か意味があるのでしょうか。

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