デジタルマガジン

2008年08月26日 17:00

舌の部位によって感じる基本味があるというのは嘘

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© jeneyepher

 スラッシュドット・ジャパンの『第六の味覚:「カルシウムっぽい」発見か』という記事を読んでいて、驚きの事実を知った。カルシウム味のこととかどうでもいいと思えるほどビックリした。

 その驚きの事実とは『舌の部位によって感じる基本味があるという俗説は否定済み』ということ。今まで読んできたどの料理漫画にも描いてあった気がするし、ソムリエなんてワインを舌の上で転がすことで、甘味・塩味・酸味・苦味を確認しているともいう。そんな重要なことはもっと早く知らせて欲しい。

 基本味の感じる部位だが、甘味は舌の先端、塩味は舌の前面両側、酸味はその後ろ、苦味は舌の腹だと学んだ覚えがある。この舌が感じる基本味には第五の味「うま味」は含まれていない。

 この『舌の部位によって感じる基本味がある』という俗説を否定するのは簡単だ。キッチンにある塩をひとつまみ、あなたの舌の先端に置けば良い。あなたは塩味を感じるだろう。真実ならば塩の中の甘味を感じなければいけないのだ。

 記事によると、『舌の味マップ』の元となるものを最初に提唱したのはD.P. Hanigというドイツの科学者だ。彼は既知の4つの基本味に対する舌の絶対的な感度を図ろうとした。協力してくれたボランティアたちの意見に基づき、1901年に彼は「4つの味は舌の部位によって異なり、甘味は先端がピークだ」と結論づけた。

 1942年にハーバード大学の有名な社会心理学の教授は、Hanigのデータに基づいて感度のレベルを図る実験を行った。これらの数値では、相対的に敏感である部位が見つけられた。その後、他の科学者によって低感度の部位は感度がない領域であると仮定され、ここに今まで我々を騙し続けてきた『舌の味マップ』が完成した。

 さらに1974年、ヴァージニア・コリングスという科学者がHanigのデータを再確認する実験を行った。その結果、たしかに舌の部位によって感じる基本味の感度に変化が認められた。しかし、それは非常に小さく、取るに足らないものだった。ワイングラスメーカーは感度の変化があるという部分のみを歓迎し、それ以外を無視した。

 そして今日、ワイングラスメーカーにより『舌の味マップ』は大々的に宣伝され続けている。ワイングラスはその独特的なかたちのために、ワインを呑む時は顔を垂直以上に傾ける必要がある。そうすることで舌の奥までスッとワインが届き、ワインを舌の両側にある酸味の部分に触れさせずに楽しむことができるというわけだ。どうして知ってるかは聞かないで欲しい。

 舌の部位によって感じる基本味があるというのは嘘だった。甘味・塩味・酸味・苦味しかなければ、どこで和食の代表的な味である「うま味」を感じれば良いのか。欧米メーカーに騙されてはダメだ!

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