差別に対して過剰に反応する人たちが差別を助長する

by.Shinohara 2008.06.23 12:00 このエントリーを含むはてなブックマーク この記事をクリップ! Buzzurlにブックマーク newsing it!

 先日、BPOに視聴者からの意見としてこんな意見が掲載されていた。「3の倍数と3のつく数字だけアホになる」というネタで有名な「世界のナベアツ」の芸が、障害者(おそらく知的障害者)や顔面神経麻痺の人を傷つけているというのだ。

 【お笑い番組に出ている芸人の「3の倍数になるとアホになる」という芸は許せない。というより、これを「芸」と言ってはいけないと思う。スタジオではゲストも客席も「アホ」になった顔を見て笑っているが、これで笑うということは倫理的におかしいと思う。障害者の方々、顔面神経麻痺の方々の気持ちを考えたら、このような程度の低い笑いをテレビで放送することが適切か不適切かはすぐに分かると思う。放送局は、テレビを見ている青少年への影響も真剣に考えるべきだ。】

 私はこの意見に興味をそそられた。それほどまでに苦情が出る顔、一体どんな顔をしているのだろうか? 私はこの「世界のナベアツ」という芸人の芸をこれまで見たことがなかった。くだらないバラエティ番組を見る暇があるなら、その時間を自分の趣味に費やしたいからだ。

 しかし、このことを語るために見ないわけにもいかない。そこで、「世界のナベアツ」による芸の動画をいくつか鑑賞した。例の「3の倍数」の芸や、その他の芸も見たが、それなりに面白いと言えるものばかりだった。だが、これのどこに障害者との関係があるのだろうか?

 「アホの顔」は、「変な顔をしている」とは思ったものの、「障害者の顔だ」とは思わない。そもそもこの芸は、キリッとした真面目な顔から、急に崩れた変な顔になるというそのギャップが面白いのではないのだろうか? アホの顔をそのまま出して笑いが取れるわけでもない。何かと組み合わせることによって「おかしさ」というのが出るのだ。この芸は、それがカウントだったというわけだ。

 最近、こういった障害者を差別しているから云々という意見をよく耳にする。「しょうがいしゃ」という言葉も、「障害者」から「障がい者」に変わろうとしている。「害」という字に悪いイメージがあるため、本人や家族に不快感に与えてしまう恐れがあると言うのがその理由だ。私は思う、そこに何の意味があるのだろうか? と。

 誰も障害者にはなりたくないし、本人たちも喜んでなったわけではない。文字をやわらげたところで、障害者そのものが持つイメージは変わらないし、このようなことが報道される度に、「特別扱い」されているというイメージがまとわりつく。この「特別扱い」が問題だ。

 障害者差別を声高に叫ぶ人ほど、障害者を「特別扱い」する傾向がある。私は知人の女性から、駅で知的障害者の男性に抱きつかれたという話を聞いたことがある。驚いた女性は、その抱きついた人を力を込めて押しのけた。至極、当たり前の行動だろう。しかし、その男性の付き添いの方には怒鳴られたそうだ。「この子は障害者なのよ!」と。つまり、障害者だから許せというのだ。

 差別をせず、平等に扱うということは、許すということではない。悪いことをしたときはそのことを叱り、正させる。良いことをしたときは、褒める。ただそれだけのことなのだが、これが許されない。悪いことをしたときは、障害者だから許せと言い、当たり前のことをしただけなのに、その当たり前を褒めるのだ。これが差別ではなくて何なのか。

 これが悪いことだというわけではない。しかし、これこそが差別を助長させている原因だと私は考えている。目の前で「特別扱い」されている人を見せ付けられれば、『この人は自分たちとは違う人間なんだ』という意識が目覚めてしまう。差別をなくそうと、障害によるデメリットを見えなくさせようとすればするほど、それは特別扱いとなり、世間の人の認識は自分とは違うという差別へと向かっていく。

 どのようなことをすれば良い方向に進むのか、それは私にも分からない。しかし、このようなことを続けていけば、心の中にある見えない差別はより強くなってしまうだろう。人の心から差別を取り去ることはできないが、それを弱めるような取り組みをして欲しい。今のような「特別扱い」は差別を助長するのだから。

この記事に対するコメント

  • kkk 2008.06.23 4:24 PM

    発言者も付き添いの人も極端な人々です。
    世の中のほとんどの知的障害支援者がそんな被害妄想暴走させてる人でないのを心に留め置いていただければ幸いです。

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