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2008年05月04日 8:00

HIVの感染を防げるかもしれない治療法が発見される

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 アメリカの国立衛生研究所(NIH)の研究グループは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)を攻撃する新しい方法を発見した。

 4月28日の米国科学アカデミーにおける発表で、ヒトタンパク質を不活性化することで、HIV感染を防ぐことができたと研究者から報告された。

 現在、HIVと戦うために用いられる薬はHIVウイルス自体のタンパク質を目標としている。しかし、HIVは突然変異する確率が高く、治療途中で薬物抵抗性ウイルスに変異することもある。

 これまでの治療では、多種類の薬を投与するか投与する薬を変更することで、素早く突然変異するウイルスの裏をかこうとしていた。しかし、このような治療法は患者に効果を与え続けることが難しく、しかも成功率が低いうえに副作用まで引き起こす危険性があるという。

 最近の研究では、HIVウイルスのタンパク質ではなく、ヒト細胞のタンパク質を目標として薬を開発することで、HIVウイルスへの新しい攻撃方法を模索しようとしている。これらのヒト細胞のタンパク質は、HIVウイルスのそれに比べて突然変異する確率がはるかに低い。

 ボストン大学のアンドリュー・J・ヘンダーソン博士とその同僚たちは、インターロイキン2誘導性T細胞キナーゼ(ITK)と呼ばれているタンパク質に干渉することで、重要なヒト免疫細胞のHIV感染を妨げることを解明した。

 その細胞はT細胞を呼ばれているものだ。ITKは体に対しての免疫反応の一つとして、そのT細胞を起動させる信号の役割を持っている。

 「この新しい発見は、HIV研究への重要な貢献を意味します」と、米国立ヒトゲノム研究所のエリック・D・グリーン博士は語る。「HIVをブロックするために新しい細胞目標を見つけるということは、今までとは異なった概念を見つけることであり、潜在的に新しいHIV療法を引き出す刺激的なモデルとなりうるのです」

 HIVが体内に侵入したとき、ウイルスが分裂できるようにそれらはT細胞に感染し、免疫細胞を破壊することで最終的にエイズを発症する。

 この新しい発見では、ITKタンパク質を不活性化させることで、HIVウイルスがT細胞の多くを効果的に利用できなくさせ、結果としてウイルスの感染拡大を遅らせるか、防ぐことができるのだ。

 ITKタンパク質を不活性化させても、未感染のT細胞の役割には全く干渉しない。そのうえ、ITKを欠損させた実験用マウスは、ほかのウイルスにかかりにくいことが分かった。ただし、ウイルスに対する反応は遅れるともある。

 研究者たちは、ITK抑制剤がHIV療法としてそのほかの機関でも研究されていくことを望んでいるという。

[ Science Daily ]

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