デジタルマガジン

2008年05月10日 12:46

小島監督「MGS4は最高。自信を持って発売します」

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 先日小島監督が「PS3ではMGS4を作れない」との発言をインタビューでしたとお伝えしましたが、申し訳ありません。間違ってお伝えてしまうカタチとなってしまいました。

 詳しい原因は小島監督自身がラジオにて述べられていますが、要約しますと「小島監督が日本語で話す→斉藤さんが英語に訳す→インタビュアーがそれを元の記事を書く→海外の有名ブロガーが一部分を抜粋して記事を書く→それを日本にいる私のようなブロガーが記事として取り上げる」という日本語→英語→英語→英語→日本語という伝言ゲームのような状態が発生していたということになります。

 詳しいことはKOJIMA PRODUCTIONSのラジオ「裏ヒデ」の第001回で聞くことができますが、テキストに起こしたものをコチラにも掲載しておきます。ラジオが今聞けないという方や、文章で読みたいという方のため、そして小島監督の言われたことを違った意味で伝えないためにも全文を掲載します。(KOJIMA PRODUCTIONSの方、問題ありましたらご連絡下さい)

 小島:今日は、今話題沸騰の、ネットで「小島秀夫はPS3に満足していない」みたいなものがやっぱり沸騰してるんですけれど、このことについて話したいと思います。

 斉藤:これいっぱい聞かれましたね。ヨーロッパでも。

 小島:そうです。ちょっとパリから帰ってきたんですけど、15社くらいでしたっけ。インタビュー。

 斉藤:そうです。

 小島:ほぼ全員に聞かれました。そんなこと言ったのか。だいぶ意味が違うように改変されてるので、全然違うんですけどね。今日はそれをちょっと話したいんですけど、なぜそうなるかっていうのも斉藤君がいるんで。

 まずですね、インタビュー受ける時に、まあアメリカと欧州、日本は日本語で言うんですけど、むこうの方はインタビューをして、校正は出来ません。日本で言う報道と一緒なんです。どうなるかはもう、ライターさん任せなんですけど、僕は日本語で答えます。それを斉藤君が英語に直します。

 ライターさんはアメリカの人と、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、北欧の人とか、ドイツとか。各国の人が、英語を共通語として、インタビューをするんですよ。まずそこで語弊が生まれるんですよ。解釈が違ったりとか。

 まあそれは仕方がないですよね。で僕が言ったことを斉藤君が通訳して答えます。それを各国の人が英語で解釈して、自分たちんとこ持ち帰って、自分の言葉で書きます。そこで大きく、言ってることとは違うものになってます。まずそこで。

 特に今回多かったのはですね、自分で言うとちょっとあれですけど、僕は日本人なので、謙遜をします。特に謙遜をする人なんですよ。

 「俺はメタルギア4をつくってるすごい奴や」とか、「今回の4はもう最高や」とかっていう、こう、アメリカ人っぽいことはよう言わんわけですよ。自分の中で合格ラインに来てても、まだまだやということを言うわけです。

 そういうことを日本語で言います。僕の言葉尻を僕らしく、斉藤君が英語に換えてくれます。海外の人は謙遜とかいう文化がないので、マジにそれを解釈して、もう悲壮感漂ってると秀夫はと、そういうことで原稿を書きます。

 これがやっぱ大きく乖離した元になっているのではないかと思いますね。彼らが自国に帰って、自分の言葉で、今回はまあ英語だったんですけど、ここにありますけど、こういう風に記事に載せます。

 これはこれで、僕が言ったことを彼らが咀嚼して書いてるので間違いではないんですけど、本来の意味とは若干ここでもう変わってます。で、ここまでであればいいんですけど、これをですね、今流行りの、インタビューばっかりを集める、何て言うんですかね、このモノ載せるわけにはいかないんで、当然、著作物なんで、なので、この概要を別のホームページが書くんですよ。

 斉藤:引用をしながら。

 小島:ここでまた大きく変わってます。元々の見出しは?

 斉藤:「MGS4 – INSIDE THE BIGGEST PS3 GAME OF ’08」つまり「MGS4、2008年PS3の最も大きいゲームの中」

 小島:これ元のホームページ、記事です。これを元に、全く別人の別の国の人がですね、
こういうのを集めてる人たちが、これを見ながら記事を書きます。これがタイトルが?

 斉藤:「Kojima Disappointed With Metal Gear Solid 4」「小島はメタルギアソリッド4に満足していない」

 小島:ま失望していると。いうような中で、えー中は大きく咀嚼されてですね、だいぶ違うものになってます。

 この先がまたあります。これ英語です。この時点で、ここでもうだいぶおかしいんですけど、今度これを、日本のユーザーがそれぞれで翻訳して、自分のホームページとかに載せていきます。これがまあその中の一個ですけど、で?

 斉藤:「CELLの限界に直面?『メタルギアソリッド4』小島氏が苦心の制作背景を明かす」

 小島:てゆう中で、もうPS3では無理やとか、すごいことを書いてあるんですよ。これを元にどんどんどんどん子供を産んでいって、今では「小島秀夫はPS3ではメタルギアソリッドを作れない」とか、そんなタイトルになっていってます。で中身もどんどん変わっていってます。もう謙遜とかじゃなくてもう言い切ってたりするんですけど、これが困るんですよね。

 こういうのがあって疑問符が僕の方に直接、当然、インタビューなんで、「小島さんほんまにそんなこと言うたんですか」と。いやそういうことは言ってないんですけど。

 女性:それがこの間言われた、15社から言われたことですか?

 小島:そうですね。確認の意味で。これはもうネット社会は当然こうなるんですよ。面白おかしく改変されてる方もいるので、ま、飛びつくわけですよね、どんどんどんどん。で一気にガーッと盛り上がって。その後一切の責任を負わずにキューンと消えるんです。

 僕の方にばっかりいっぱい問い合わせが来るんですけど、ま、これは現象として、実際そうです。で、本当に言いたかったことをこれから言います。これは15社の人たちにも言いました。

 まず、あるハードを僕らは作ってるとします。ハードと言うかゲームね。そのハードのレベルが、地べたを這う車、車で移動できる次元ね。そのハードを作ってるところに、次の次世代のマシンのスペックが来ました。

 それは何かというと、空を飛べるというハードらしいと。それを僕らは聞くんですよ。今車でマッハを超えれるかとかいうと超えられるわけないんですよね。地べた走ってるんで。

 それでもなんとかそれを作ろうとしてる時に、空を飛べるマシンが出るぞと言われて、もう嬉しくてしゃあないわけですよ。「なんや空飛べるんやんけ次」ってなると、もっと先まで夢見ます。これはクリエイターの性なんで、仕方がないんですけど。「じゃあ音速超えれるやん」ていうことね、そこで止まらないんですよ。

 「宇宙まで行けるやん」「大気圏外まで越えれるやん」と思うんです。で思って、その頭で企画するんです。もう楽しい時期です。ものすごい楽しい。「宇宙を越えたらこんななる」「宇宙を越えたら無重力空間があるからこんなんしてあんなんして」ってこういうのを作ってるんですけど、そこにハードの具体的なものが来ます。

 で、それで作っていくと、まあ音速は超えれたけど、やっぱ宇宙に出るようなハードではなかった。そこまではいってなかったという、そういうことなんですよ。

 空を飛べるっていうイメージを掴んだ時に、10歩行けると思ったけど、最終的には1歩やったっていうのはそこなんですけど、この1歩がすごい重要なんですよね。1歩前に進めるっていうのはものすごいことなんです。下しか走ってなかったのが空を飛べたわけなんですから。しかも音速を超えたんで、っていうことなんですよ。

 で、今回は1歩ですけど、その次のハードが出た時に、「宇宙を飛べるよ」「えっ宇宙飛べんの!」って宇宙を飛べるっていうことは、もっとすごいことできるんちゃうかってまた思うわけですよ僕らは。

 光速を超えて、過去にも未来にも時空を超えれるんちゃうかと思うわけよ、普通ね。その頭でまた企画するんです。で実際にハード来たら、まあ光速は超えれたけど、時間を超えられへんかったみたいなね。

 でもそれは確かな1歩で、前からすると2歩進んでるんです。これが物作りなんですよね。そういうことを僕は伝えたかったんですけど、伝わらなかったようで、てゆうことですよね。

 斉藤:まあ、大規模なもしもしゲームみたいな。で、一番最初の記事も、実は監督のインタビューって、全部録音してるんですよ。僕の訳した英語も監督が言ってる日本語も、全部大体、最近は録音してるんですよ。

 で、それで確認すると、一番最初の記事って間違ったこと言ってないんですよ。だけどやっぱり、さっき監督の言ったように、日本人の謙虚さとか、ちょっと皮肉っぽい言い回しとか・・・

 小島:まあ僕は自虐的ですからね

 斉藤:そういうところをつまんでですね、次にこの記事を、元の記事を、今度は感想を交えて次の人が書くと、その人の主観、でまたその記事を見て、感想を交えてその記事を引用したりすると、いくらでも、ね、ちょっと怖いなーと思ったんですよね。

 小島:しかもタイトルがもう明らかに変わっていってるんで、うーん、これはちょっと困るんですよ。だからインタビューとかもうせんとこうかなと。

 女性:そうなりますよね。

 小島:もう最近思いますよね。もうなんかインタビューすることが僕の仕事じゃないんで、ものを作るだけなんですけど。

 斉藤:ただやっぱり、最初のインタビューは、きっちり、いい記事書いてるんですよね。その意図もちゃんと、ある意味書いてあって。

 小島:こういうのは僕の写真もね、僕のお気に入りのコントロールTシャツを着てる、これをコピーしてほしいんですけど、もうね、最後の方の日本、や、これよりももっと酷いですよ。もう、4年くらい前のヒゲボーボーのやつれた僕の写真とかわざと載せてるとこもあって。

 斉藤:今回欧州でね、全員が、でも全員が別にあの皮肉っぽく訊いたわけじゃなくて、もうちょっと話聞かせてくださいとか、どういう意味だったんですかっていう人もいれば、ほんとに言ったんですか?っていう人もいれば、それを全部一応誤解を解いてですね、僕も監督も全員にですね、書いてねって、こういう意味だよって書いてねっていうのはね、念を押してみましたからね。

 小島:うーん、まあでも、今後海外のインタビューは、アメリカンに「最高や!」と、MGS4は「これ以上のものはない!」と、そういう風に言います。なんかそれはかっこわるいですよね、日本人として。クリエイターとしてそんなん言うたら最低でしょうね。

自分でインタビューでも最高のこれ以上のものはないんやとか言うのは、それ言いたくないですよね。

 女性:それは小島秀夫じゃないですよね。小さいですよね。

 斉藤:でもそれを言わないとこうなっちゃう。

 小島:あの、そう言ってほしかったっていう、まあ、どんどん子供を産んで、孫、曾孫くらいの記事を読んだユーザーは書いてありましたから、ブログで。

 女性:まああの伝言ゲームみたいなもんですよね。

 小島:まあでも、PS3でMGS4を見てもらったらわかると思いますけど。

 女性:でもこれはもう、生きてるわけですよねこれ、一人歩きしちゃうわけですよね。

 小島:いやこれはそうですね。いつも僕はそういうの多いですよね。そういうことを言わないとおもろくないというか、当たり障りのないこと言うててもしゃあないんですけどね。

 女性:それは欧州で発覚したんですか?

 小島:いや、これは欧州でというかあのー、出発前にすごいことになっててですね。でまあ、日本が一番歪めて伝わってるんで、日本だけかなと思ってたら、どうやらそうじゃなくて、この元からこっちに行って、この後もう各国でやっぱりあるみたいですよ。

 イタリア語はイタリア語で、フランス語はフランス語でどんどんユーザーが面白おかしく?人の言葉ってあれなんですよね。1から10言って5だけとると逆の意味になったりするんです。

 女性:しますよね。

 斉藤:今度から「これ、謙遜してるけどね」とか、一言言いますか?最後に。

 女性:でもそれは使われないんだよね。

 小島:あ、それは使われない。

 斉藤:うっふっふっふ、もうどうしたらいいんだ。

 女性:まあ監督のように、やっぱり「これは最高や」って言うか、もうこういうのはもう、しょうがないと思うかですよね。

 小島:うーん。ただちょっとね、このメタルに関してはこれ、僕の持ち物じゃないので、これはちょっとやめていただきたいですよね、こういうことはね。

 斉藤:うん、まあこんな・・・

 小島:これどうしたもんでしょうねこれ。みなさんに聞いてみましょうか?みなさんもでもこういう楽しみあるんでしょうねこう・・・

 女性:楽しみにしてる人がこれを読んだらちょっとショックでしょうね。

 小島:まあそういう人いっぱいいましたけどね。

 女性:ねえ。えーっ!?てなりますよね。

 小島:自信を持って発売しますので、その心配はないと思いますけど、当初やろうと、いっつもそうですよ?PS3だけじゃなくてPS2のときも、プレイステーションもそうですけど、高みを望むからこそ1歩が大きくなるので。

 斉藤:うーん、ねえ。またこれ最後、元のインタビューなんですけど、最後はねえ、やっぱりこういうクリエイター?あの非常にレベルの高いクリエイターってのはやっぱりいつになっても満足しない、みたいな結びなんですよ。

 だからちゃんと最後まで読んで、なるほどねって理解してくれれば、こういうことにはならないんですけどね。逆にあの、監督の言葉、そのまま結構書いてあるんで、ちょっと皮肉っぽいとことかギャグっぽいとことかも結構反影されてるんでしょ?

 女性:元々の原稿はね。

 斉藤:そのね、一部分だけとるとね、こんなんなっちゃうっていうね。また監督あれじゃないですか。「最高や!」「イヤー!」とか言うとまた

 小島:うーん、まあ日本の新聞ではよくありますね、こういうことは。

 女性:ああ、日本の新聞はありますね。はい、ありますね。

 小島:うん、よくありますね。うん。一般紙とかもありますよね。週刊誌とかもそうですけど。言ったことにはかわりはないんですけど、その部分だけをとらわれると、違う意味になってしまったりとか。順番を変えられたりとかすると。

 気をつけてはインタビューはしてますけど、あんまり普通のこと、まあ一応僕らも訓練を受けてるんで、会社なので、メディアトレーニングってのを受けてますけど、僕はなるべく、やっぱりなるべくサービスしたいので。こういう姿勢でやってきましたけど、まあこういうことが続くんであればもう一切出ないと。

 女性:ねー、そうなっちゃいますよね。

 小島:これで給料もらってるわけじゃまったくないので、出ませんもう!決めました!ラジオもやめ!みたいなね。

 以上が話題となっている翻訳記事に対しての全文となります。このあとにもいろいろと裏話が盛り込まれているのですが、そちらは今回のこととは関係がないので省いています。すべてを聞きたいという方はラジオの方を聞かれて下さい。

 果たしてMGS4がどのような仕上がりになっているのかは、プレイしてみないことには分かりません。私もできることならレビューを書きたいのですが、PS3をもっていないのでちょっと難しそうです。

 一度小島監督からMGS4についての説明を直接聞いた時、あれは去年でしたが「MGS4の完成は来年になりそう。だからそれまでPS3は買わなくてもいいよ(笑)」というようなことを冗談めいて言われていたことを覚えています。

 あれから1年ほどたち、ようやくMGS4が世に公開されようとしています。その発売を待ち望んでいる人に対して、先日の記事は失望を与えるものだったと深く反省しています。日本でもメディアとしてブログが認められるよう、精進して行く所存です。今後ともデジタルマガジンをよろしくお願い致します。

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