Wiiは1台あたりのソフト装着数が少ない
ニューヨークタイムズに面白い記事が掲載されていた。「Wiiのユーザは数は多いがゲームを買わない」というものだ。
任天堂はアメリカ国内のゲーム市場において頂点に立った。PS3やXbox 360のような先進的な技術ではないが、Wiiはそれらの機種よりも多く売れており、2000万世帯以上がWiiを持っている。
しかし、小売店はWiiのゲームを売ることに苦労している。
大乱闘スマッシュブラザーズXは、今年最もホットな売上が期待されていたゲームだった。3月前半に発売されたこのソフトは、1週間で140万本以上を販売し、任天堂オブアメリカにおける記録を打ち破った。
そして発売から4週間後。大乱闘スマッシュブラザーズXの販売数は、最初の販売数より90パーセント以上も低下した。たった4週間で、だ。
ウォルマートやトイザらスなどの主要小売店は、既に大乱闘スマッシュブラザーズXが売れない商品であると判断し、Wiiとのバンドルとして抱き合わせ販売をするに至っている。この扱いは、日本でいえばオプーナの扱いだ。
「我々は、最初の週で2000本以上の数を販売しました。しかし、現在では100本も売れません」と、小売業者は語る。
ゲームユーザはご存知だろうが、大乱闘スマッシュブラザーズXには、いくつかの初期のWiiではディスクが読み込めないという欠陥が存在する。トイザらスでは、顧客が「大乱闘スマッシュブラザーズXが欠陥だ」と言ってきても、「いくつかのWiiではディスクを読み取ることができない」と伝え、ゲームの交換を拒否するようにしている。
ほとんどのWiiユーザはこのことを知らないし、お店でこのことを聞かされた場合は、ほかのWiiのゲームを購入することで満足して帰っているという。このことについて任天堂はWiiのレンズ交換で対応しているが、そもそもWiiは故障しにくいと主張する。
トイザらスの女性販売員クリスティーナさんは、「販売した500本の大乱闘スマッシュブラザーズXのうち、返品されたのは8本。この8本については任天堂が確実に処理を行ったそうよ」と語る。
ここ最近で、批評家から多くの賞賛を集めたWiiのゲームは期待外れの売上しか出さなかった。この3ヶ月で売れたと言えるWiiのゲームは3本だけ。
「スーパーマリオギャラクシー」「ギターヒーローIII」「はじめてのWii」だ。もっとも、このタイトルの成功にWiiである必要性はなかった。「ギターヒーローIII」はWiiで220万本売れたが、Xbox 360では280万本、PlayStationともあわせれば500万本も売れたのだ。
問題は、任天堂がWiiを売り出す時に、広い広い網を投げつけて、大きな魚以上のものを捕らえたということだ。Wiiの革新的な動きや敏感なコントローラ、ライバルマシンよりも低い価格は、従来のゲームユーザよりも大衆に好まれている。
小さな子供や、女性や高齢者はWiiというものからテレビゲームの存在を知った。なぜなら、それらの消費者はゲーム業界からアプローチをされていなかったからだ。
しかし、これらの新しいゲームユーザは、持っているゲームだけで満足してしまっている。Wii sportsがあればその1本だけで満足し、新しい刺激を求めて他のゲームを購入するということはない。
普通のWiiユーザは一年間あたり3.7本のゲームを購入する。対してXbox 360は4.7本、PS3は4.6本だ。
アナリストであるコリン・セバスチャンは、親戚の家に訪れた時にテレビの横に置いてあるWiiを見て驚いたという。そこには、Wii sports、やわらかあたま塾、はじめてのWii、またはそれらに類するものしかなかったのだ。
アナリストは問題の一部が、他のゲームメーカーがまだこのより広い大衆に届けることができる、型破りの広告方法を受け入れていないということであるとも言う。任天堂はラジオでやわらかあたま塾の購入を促した。
従来のゲーム雑誌、日本におけるファミ通や電撃などの広告はWiiユーザには届いていない。これは、結果として従来のゲームユーザを困らせることになる。
サードパーティーは、Wiiにおいて市場を作ることは難しいと判断している。Ubisoftはラビッツパーティー、ハドソンはSUDOKU 数独やクロスワードパズル、ジグソーパズル、魚釣りゲームで成功した。
ハドソンの北米エンターテイメントのチーフエグゼクティブジョンのグライナーは、「Wiiを購入する人は、PS3やXboxを買う人と同じ種類ではありません」と、言う。
任天堂はマリオカート Wiiを発売し、このカジュアルなユーザとコアユーザを結びつけようと努力している。
Wii Fitは、任天堂の歴史におけるどんなゲームよりも多くの収入を得るだろうと予想されている。そしてそのお金は従来のゲームユーザを獲得することに使われることはないだろう。Wii Fitはただの筋金入りのゲームユーザを対象にしない。
と、ここで記事が終わっている。さて、これを読んであなたはどんな印象を受けただろうか?
私は若干の違和感を感じた。もちろん任天堂のやっていることは素晴らしいことだが、マリオカートWiiが売れれば売れるほどサードの装着数は減る。儲けるなと言うつもりはないが、サードとの関係を強化するつもりはないのか?
カジュアルゲーム→マリオカートWii→ゲーマー向けのゲーム。しかし、今Wiiにこれはゲーマー向けだ!と言えるソフトはほとんどない。モーション系ばかりが転がっている。
期待の通信対戦も任天堂のソフト以外は存在しない(もしかしたら1本ぐらいサードでもあるかもしれない)。このあたり、PS3やXbox 360に激しく劣っていると感じてしまう。
ソフトの装着率をあげるのも重要だが、ほかのソフト勢をそろえることがまず重要なのではないだろうか?
2/28 7:43 誤訳があったため記事を書き直しました。それにともなってタイトル、記事の内容を変更しています。読者の皆様にご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。
旧タイトル:任天堂は従来のゲームユーザを裏切った。Wiiはゲームとしてもハードとしても欠陥品
私は怒りを感じた。任天堂は縮小を続ける従来のゲーム市場を捨て、新しいカジュアル層の開拓へと乗り出した。従来のゲームユーザは捨てられたのだ。彼らに復興しようという意思はない。
初めてゲームというものに触れさせてくれたのは任天堂だった。それから10数年以上、私はゲームにどっぷりとつかった。ひたすらに楽しかった。ありがとうという気持ちがある。
しかし、拾い上げた私を捨てたのも、また任天堂だったのだ。Wiiは確かに売れている。任天堂も大きな利益をあげた。しかし、そこにはかつての任天堂の姿はないように見える。
今後任天堂はどうするのだろうか?今のゲーム市場を捨てたまま、カジュアル市場を開拓していくだけなのか?従来のゲームユーザは捨てられたままなのか?ソニーやマイクロソフトが踏ん張っている間、彼らは他所でおいしい汁を吸い続け、またこの市場がおいしくなった時、彼らは戻ってきて汁を吸うのか・・・。

